目的地へ行こう

まだたどり着いていない人のブログ。

【スポンサーリンク】

マザー・テレサが現われた

f:id:koyoblog:20170929223817j:plain

 マザー・テレサは現れた。後ろを振り返ると、旅行者の一人一人に記念品を手渡して歩く彼女がいた。間違いなく‘マザー・テレサ’だ。やっと彼女に会うことができた。

 偉大な人、マザー・テレサ。しかし、彼女は小さい。そしてかなりの高齢だ。山折先生は、彼女はてきぱきと動いていた、と話していたが、今のマザー・テレサは老いたのかゆっくり歩いている。

 それにしても信じがたい。礼拝している姿を垣間見るだけだろうと思っていたのに、今、私の方に向かってゆっくり近づいて来ているのだ。日本で著名な先生に三分間しか時間を与えなかったのに、旅行者に記念品を渡している。信じがたい。だが、目の前にいるのは紛れもないマザー・テレサである。しかも、なんとあのマザー・テレサが、旅行者と並んで記念撮影までしている。信じがたい。会うことも難しいはずだった聖なる人が、記念写真に収まっている。

 ついに私の所にマザー・テレサは来た。記念品をもらうときは、皆、ヨーロッパの貴族の挨拶のように、両膝を少し曲げ会釈をしている。これが礼儀なのだ。私もぎこちなくそれをやった。そして、無理につくった笑顔はさらにぎこちなかったに違いない。マザー・テレサは微かに口許を緩めながら、記念品を手渡してくれた。あくどい運ちゃんや、小賢しい詐欺師に出くわしてもそう簡単にはひるまないが、この時は確かに胸がドキドキした。

 もらったものは小さなペンダントで、アルミでできている軽いものだった。表には浮き彫りになっているマリア像があり、周囲には“O MARY CONCEIVED WITHOUT SIN PRAY FOR US WHO HAVE RECOURSE TO THEE”(“ああ、罪なく身ごもられたマリア様、あなたを頼みとする我等のために祈りたまえ”というところか)とある。裏には、十二の星に囲まれた十字架のようなものなどが形どられていた。世界中から集まってくる募金は、少しでも施設のために使いたいだろう。だが、毎日訪れてくる旅行者のために、このペンダントを渡してくれているのだ。

f:id:koyoblog:20170929223839j:plain

f:id:koyoblog:20170929223935j:plain