目的地へ行こう

まだたどり着いていない人のブログ。

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バックパッカー-旅は帰ったときのために

読んでいただきありがとうございました

ここまで一度でも読んでいただいたすべての皆さま。ありがとうございました。 小さな箇所はときどき修正していますが、アドセンスを試したらバナーが記事のど真ん中に数日間出ていたり、アップする記事の順番を間違えたりしたこともありました(同じ指定日時…

何故旅をしたかったのか~その2

目的地へ行こう この手記の中で私は三回怒鳴っている(1,2,3)。“価値観が違い、今までの経験がまったく通用しなくて、自分の力を頼るしかない状況でどれだけやれるか、試したいのである。そして、その時の緊張感がたまらないのである。この緊張感とい…

何故旅をしたかったのか~その1

以上の手記は旅のあとに数年かけて書いた。少しずつ書き足し、そして何度も見直して修正した。旅行中のメモ書きや写真を見ながら、その時起きたことや感じたことを正しく分かりやすく伝えられるように直していった。今回、ブログを書くにあたっても全体を読…

インドは航空チケットを取るのもハードだった

‘インドに行きたい’と初めて思ったのは、一九九二年の秋だった。しかし、インドとの相性は悪かった。その年、一九九二年の十二月、出発直前にヒンドゥー教徒とイスラム教徒間の対立で暴動がおこり、何やら危険なムードが漂った。暴動はインド各地に拡大した…

インドは甘くない

飛行機では、日本人の若い夫婦と隣になった。彼らは私の風体を見て、とても興味を覚えたようだった。 「話には聞いたことあるのですが、あなたは一人でまわって来たんですか。宿の予約もとらずに」 「ええ」 控え目に答えはしたのだが、彼らの見せる驚きの表…

再会して驚き

「やあ、久しぶり」 小林君だ。出国審査を終え、出発ロビーで休んでいる時だった。彼とはたまたま帰りの飛行機も同じだったのだ。彼は幾分やせたように見えた。 「どうだった?どこに行ってきた?」 自分の行けなかった町の話を聞きたかった。私と違う旅の経…

助けられて一人旅は続く、カンボジア内戦の終わり~その2

プノンペンの独立記念塔に続く大通りの両脇には、ぎっしりと人々が並んでいた。町に住むありったけの子供たちの白いシャツで、ずっと先まで真っ白だ。おのおのシアヌーク殿下やミッテラン大統領の写真、それに両国の国旗を掲げ、嬉しそうに待ちわびている。…

助けられて一人旅は続く、カンボジア内戦の終わり~その1

これまでいろんな国を一人で旅してきた。無事でいるために、何でも一人でしなければならない。自分の安全は自分で慎重に守らねばならない。食べるものも泊まる部屋も探して歩かねばならない。だが、自分が今までやってきたことはほとんど通じない。常識も、…

アジャイが怒鳴られた

財布が底をつきそうになっていても、AJAYは空港まで送ってくれると言った。高くつく直通バスではなく、普通のローカルバスに乗り込んだ。これがまた体力のいるバスなのであった。もちろんエアコンなどなく、目一杯に人が乗り込んでくる。四十度のデリーです…

デリーは好きか

「君みたいなインド人にはあまり会わなかった」 彼はすぐに意味が分かった。 「そうなんだ。デリーの人間は旅行者を見れば、金をとることしか考えない」 そう言いながら、彼は眼下の町に目をやった。 「そして、汚くて、騒がしい」 下では人が蠢いている。汚…

アジャイ AJAY

「あなたは日本人ですか」 そんな時近づいてきたのは、大学生AJAY SHARMA だった。それなりに綺麗な白いシャツにベージュのスラックス、革靴、そして黒縁眼鏡に緑と白のキャップ。腕時計までしている。なるほど大学に行ける位の金を持っていそうだ。それに、…

泥棒バザールを抜けてジャマー・マスジットへ

デリーに戻ってきた。なぜか懐かしくほっとする。東南アジアを回ったときも、旅の中心地となったバンコクに戻る度にほっとした。デリーはからっとしている。この気候もカルカッタよりいい。 バスに乗ってニューデリー駅まで行く。少し歩いてから、暑さに負け…

ダムダム空港

タクシーのおじさんに八十五ルピー渡し、釣りは受け取らずにダムダム空港に入った。デリーから到着したときは気づかなかったが、空港は結構綺麗で感じが良かった。カウンターのお姉さんはとても親切だった。朝の光が差し込み、人もまだまばらですっきりして…

鉄格子の部屋を出る

翌朝は早く起きた。デリーに戻る便が八時だったからだ。六時に部屋を出た。もちろん部屋の前で寝ている使用人は、足を動かされても起きはしなかった。粗末なロビーの床に寝ている人を起こして、宿の出口を開けてもらった。‘Timestarよ、さようなら。’その独…

バイクで飛ばせ

舞台は長く、夜の七時から始まり、九時になっても終わらなかった。私はとても時間が気になっていた。Timestarに帰り着くためには、麻薬中毒者と、旅行者にじとっと目を向ける人の間を、通り抜けねばならないからだ。でも、もしホール出てしまえば面白いもの…

何が何だか

トラベラーズチェックを換金してくれ カーリー寺院の後は、トラベラーズチェックを現金化するために銀行に行った(キャッシュをあまり持ちたくないので、両替はこまめにやる。東南アジアでは安宿街によく両替所があって便利だった)。人に聞いたところで、な…

死に近い国

焼かれる死体を、その灰をかぶる位に間近で見た。ネパールのパシュパティナートだった。小さな川の横、組まれた丸太の上に、白い布でくるまれ更にオレンジ色の布をかけられた死体が横たわる。僧侶らしき人が死体の口に何かをつけ、その周囲を回ってから、足…

山羊

その時丁度、儀式の始まりを告げる太鼓が打ち鳴らされた。人が儀式場の回りに集まってきた。儀式場といっても、二十センチ位の低い石に囲まれた六畳程のコンクリートスペースだ。そこに二十センチ位離された高さ一メートル程の木材が二本立てられている。そ…

カーリー寺院

人リクシャーを捕まえて、地下鉄のパーク・ステーションに向かった。朝のこの時間には、水を浴びる人がそちこちで見える。これはネパールでもそうだった。そして何故そちこちで見えるかといると、道端で浴びているからだ。歩道の途中にいきなり井戸があって…

働いてお金をもらってはいけない、という教え

外に出て、辺りをうろうろしていると、さっき道案内をしてくれた少年がいた。 「彼女に会えた?」 「ああ、君のおかげだ。ありがとう」 そして、写真などを撮りながら少年と話をしていたが、そのうち彼は言いづらそうにしながら切り出した。 「お母さんが病…

マザー・テレサ

修道女の多くは中庭で洗濯を始めた。そして数人は礼拝場に戻って、読書を始めた。私も折角だから礼拝場で静かに座禅でも組んでみることにした。 過去のことを考えてみようと思った。折角だから。自分の罪深い人生を省みるなんてことはしたこともないし、これ…

マザー・テレサが現われた

マザー・テレサは現れた。後ろを振り返ると、旅行者の一人一人に記念品を手渡して歩く彼女がいた。間違いなく‘マザー・テレサ’だ。やっと彼女に会うことができた。 偉大な人、マザー・テレサ。しかし、彼女は小さい。そしてかなりの高齢だ。山折先生は、彼女…

ミッショナリーズ・オブ・チャリティ

そのマザー・テレサはカルカッタにいる。しかも、朝の礼拝の時間に行けば、その姿を見られるらしい。早起きしてタクシーに乗り込んだ。五分程で、大きい教会の前に着いた。運転手は指さして、 「マザー・テレサ」 と言った。だが、入ってみればその教会には…

祈る、とは

マザー・テレサ。多くの人がその名を知っているだろう。旧ユーゴスラビアからやってきて、修道会‘ミッショナリーズ・オブ・チャリティ(神の愛の宣教者たち)’を創設した。路上で死んでいく人々が人間らしく静かに死を迎えられるように、施設を提供している…

綺麗な町

歩いてニューマーケットの方をぶらついてみた。Timestarから二百メートル程の所だ。そこは色々な小店舗が立ち並ぶ、庶民的な繁華街だった。カセットテープ屋、サリー屋、路上の風船屋。目が会えば、‘見ていけよ’と合図する人もいたが、声をかけてくる人は誰…

洗濯

外はすっかり暗くなっていた。Timestarに向かう細い道に入った。そこには何やらうごめく影。闇に紛れたインド人たちだ。一人の白目が月に反射して輝いた。憎しみに満ちた目が、じっとこちらを見据えた。いつものように、なに食わぬ顔で、胸を張り、足早に通…

多様な人々

カルカッタで中心的な道路となるチョーロンギー通りには、地下鉄が走っている。カルカッタを動くには、この地下鉄を使うとすごく便利だ。サダル・ストリートの近くにはパーク・ストリート駅があった。まずは、その駅に向かった。 Timestarからは二分も歩けば…

鉄格子の部屋に泊まる

Timestarのこの安い部屋に居座るならば、トイレは耐え得るものであるかどうか見極めねばならない。今は悪臭を放っている。しかし、まずは百二十の部屋が空くまでだ。それなら問題はない。 「とりあえずここでもいいよ」 そう言うと使用人は下に戻って行った…

悪臭

Timestarは細い道からさらに奥に入った所にあった。ドアなどない。でかい入り口の目の前がフロントだった。そこにはターバンを巻いたでかい男が座っていた。落ちつきはらって、わずかにこくりと頷いた。貫祿がある。 「部屋を探している」 「どの位の部屋が…

注射器

なんとも寝苦しい夜だった。窓を開けたが、六階の部屋でもわずかな風すら吹いていない。シャワーを浴びてすっきりさせたが、それもカルカッタの湿気には無駄な抵抗だ。頭を拭いている間に、体は汗が混じってますます濡れた。 部屋は、値段が高いだけあって広…