目的地へ行こう

まだたどり着いていない人のブログ。

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シヴァ

運転手は小柄で痩せた男だった。「名前は?」と聞くと、黙って首を振った。(当時)歳は私と同じ二十七歳。体つきは子供のようだが、口髭を生やした顔は歳相応に見える。名無しの彼は、少しふっくらさせればシヴァ神に見えないこともない。だからシヴァと呼…

銃口をつきつけられた

荷物を置き、チケットを買いにすぐに駅へ行くことにした。短い期間で、ヴァラナスィー、カルカッタに行くためには、今日中にタージマハールを見ておきたかった。リクシャーを拾い、メインバザールの人込みをするすると走り抜けるとすぐに駅が見えてきた。し…

値切り交渉

次の日は九時位に起きた。といっても朝早くから外は騒がしく、何度も眠りから引きずり出されそうになったのだが。空港からバスで一緒に来たフランス人が、メインバザールはうるさくて泊まりたくない、と言っていたがやはりその通りだ。アジア諸国の朝は早い…

銃撃

アンコール=トムの中心地バイヨン寺院は、林立する石塔それぞれの四方に微笑する顔が大きく彫られている。いわゆる『バイヨンの微笑』と呼ばれているもので、その数は百九十六もある。寺院の中に入れば、どこを向いても石の彫刻に微笑みかけられるのだ。私…

クメール=ルージュ

広大なアンコールの遺跡群を見て回るには、車かバイクしかない。宿に着いてから、車を雇った。六車さんと私、それにシェンムリアップの空港で知り合ったフランス人の三人で交渉した。しかし、二日で一人二十ドルと聞いて、フランス人はおりてしまった。バイ…

渡航自粛

ゲストハウスに戻り、白人夫婦とお互い集めた情報を交換すると、彼らも、シェンムリアップから戻ってきたばかりの人から、問題はなかったという話を聞いていた。彼らは、予定通り明日、シェンムリアップに向かうつもりだと言う。私も二重にシェンムリアップ…

本当に危険か、カンボジアでのこと

快適な旅をするには、相手が細菌であれ、人であれ、結局、危険を避けるのが基本だ。また逆に、そこが一番面白いところだ。同じ感覚を持つ人は沢山いる。でも、あまりに危険なことをしすぎる人もいる。 タイのカオサン・ロードで会ったのだが、イラクに入った…