向こうはあの手この手で近づき、親近感をわかせ、油断させようとしてくる。だが、最終的な狙いは、ただ金をふんだくってやろうと思っているだけだ。油断は禁物である。 しかしながら、できるだけ旅行者、特に日本人から金を得ようと思っているのは、何もひっ…
同じクアラルンプールの街頭で「今、何時ですか」と、日本語で尋ねてきた野郎(男だと態度は変わるのだ)がいた。私を見つけるや待っていたかのように出てきた。これは集団ひったくりの手口である。こうやって一人が注意を引きつけておいて他の奴らがひった…
インドではビールはあまり飲まないらしい。普通の食堂ではビールを置いていなかった。その界隈では、レストランメトロの屋上(といっても二階建て)にしかないらしい。メトロの店内を抜け、ビヤガーデンに入った。 疲れていたからすぐに酔いがまわり、その酔…
「カモン、ジャパン」 私はすっかり‘ジャパン’である。パスポートをコピーするために、最初に声をかけてきた私と同じ二十七歳の彼と、向かいのコピー屋に行った(彼がコピーをとってくると言ったがパスポートは決して人に手渡さない)。彼は一枚コピーをとる…
バッグパックをワイヤーと錠前でベッドにくくりつけて、ビールを飲みに二人は出掛けた。通りは店が軒を連ねているため結構明るい。人込みをかき分け、食堂を探した。ゆっくり歩いていると、 「ヘイ、ジャパン」 と髭を生やした若いのが、カリフォルニアに住…
通りに入って二百メートル位の所で私たちは降ろしてもらった。そしてそのまま目の前のHotel Payalに入った。薄暗い階段を上がると、ソファに弱ったじいさんが横たわり、ぼろ机のカウンターに髭を生やしたおっさんがいた。 「空いてる部屋はある?」 「ダブル…
時間は夜の八時半を回っていた。宿を探さなければならない。しかし、バスの中からは並んでいるように見えたゲストハウスも歩いてみれば数える程しかなかった。しかも、営業しているのは一軒も見つけられなかった。やはりメインバザールまで行かねばならない…