目的地へ行こう

まだたどり着いていない人のブログ。

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2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

少年の大きく澄んだ目

フィリピンに行ったのはピースボートのツアーだった。ピースボートは、1983年に日本の戦争の跡を見て回ることから始まったNGOで、国際交流のツアーを主催する。そのフィリピンツアーでは、日本のODAによる開発で環境破壊が進んでいる地域や、孤児院、日本人…

諦めた目

昨日行き損ねたラージ・ガートに向かった。リクシャーが信号で停まると、物乞いの親子が近づいてきた。少年が左側から、乳飲み子を抱えた母親は右側から手を差し延べた。少年は大きく澄んだ目でしっかりと私を見つめた。母親は視線が定まらず、周囲を見回し…

フルーツジュース屋

シルバーパレスに別れを告げて、メインバザールに出ると、また無性にフルーツジュースが飲みたくなった。小気味よくミキサーをかけるおじさんは、私が近づいていくと、‘まあ中に入れよ’と招き入れた。中は三人入れば一杯になってしまう狭さだ。すでにいた二…

帽子を持って行った少年

「両替はできたか」 KUMAR が私を迎えた。 「ああ、大丈夫だ。ありがとう。金も返すよ」 「リクシャーは幾らで行った?」 「教えてもらった通り、五十ルピーで行ったよ」 二人で雑談をしているときに、一昨日深夜まで待っていてくれた少年が来た。日本でいえ…

宣伝男

メインバザールに戻った頃には、ニューデリーはすっかり強烈な暑さを取り戻していた。喉はすぐにからからになる。そこでずっと気になっていたフルーツジュース屋に入った。暑い国に行くとこのフルーツジュースがたまらなく、うまい。タイ、マレーシアでは屋…

アショーカホテル

日曜の朝の道は空いている。リクシャーは軽快にとばした。バイクタクシーも気持ち良くとばしている。バイクタクシーは客をバイクの後ろに乗せるタクシーだ。つまり、ただの二人乗りである。運転手にはターバンを巻いたシーク教徒が何故か多かった。その宗教…

クマール

翌朝はまず両替をしなければならなかった。昨日の両替では金額が小さすぎて、カルカッタへの移動を考えると今日使う分には足りそうになかった。しかし、その日は日曜日だった。でかいホテルでないと両替できないだろう。フロントに行ってネパーリーに聞いて…

混沌

ニューデリー駅に着き陸橋を登った。踊り場には目の見えない笛吹きがいた。子供の頃、駅の地下道で、戦争で足を失った人がハーモニカを吹いていたのを思い出した。笛吹きはまだ若く、痩せてはいたが弱ってはいなかった。私は写真を撮りたくなった。せめても…

歩いて見える風景

こうなったらついでにメインバザールまで歩いてしまおう。どんどん思わぬ事態となってきたが、歩くのも面白いだろう。 そうとなれば、まずは現在地を確かめねばならない。地図を見ると、デリー門を左に曲がれば後は道なりでメインバザールに着く。デリー門は…

ガンジーの家(Gandhi Smriti Museum)

しかし、ガンジーの家に着いてみても、すでに門は閉まっていた。中を覗けば最後の客達がガイドに連れられて庭を歩いている。来るつもりは無い所だったが、このままで帰りたくはなかった。今日一日が切符探しで終わってしまう。それに、入れないとなると余計…

リクシャーに乗って

宣伝男をまたやり過ごして、リクシャーを捕まえた。痩せた、人の良さそうな笑い顔をするおっさんだった。彼は焦っていた。よっぽど儲かっていないのだろうか。とりあえず自分の客にしてしまおうと、‘いいから乗んなさい’とうんうん頷きながら腕を押した。で…

ほっと一息

デリーに戻る航空券を取りに行ったときは、約束の十時をとうに過ぎ、二時をまわっていた。 「遅かったじゃない」 子供を抱えたおばさんは私を持ちわびていた。おとといとは違い、ばっちり目は覚ましていたが、やっぱり眠そうな目をしている。 「彼(主人)は…

暑いメインバザール

メインバザールに戻った。騒がしい、暑苦しい、むさ苦しい。いろんな連中がごった返している。歩きだすなり、太ったおばさんが私の袖をひっつかんだ。何かのマークの布切れをシャツにつける気だ。 「な、なんだよ!?」 おばさんは無言。表情も変えない。た…

別世界のコンノート・プレイス

駅はごったがえしていた。そこら中に人が座っている。インドでも休暇の時期なのだそうだ。寄ってくる闇両替や物乞いを受け流して、二階の外国人用の窓口に行った。だが、やはり空席はなかった。こうなったら飛行機しかない。とにかく東に向かわぬことには話…