目的地へ行こう

まだたどり着いていない人のブログ。

アショーカホテル

日曜の朝の道は空いている。リクシャーは軽快にとばした。バイクタクシーも気持ち良くとばしている。バイクタクシーは客をバイクの後ろに乗せるタクシーだ。つまり、ただの二人乗りである。運転手にはターバンを巻いたシーク教徒が何故か多かった。その宗教…

クマール

翌朝はまず両替をしなければならなかった。昨日の両替では金額が小さすぎて、カルカッタへの移動を考えると今日使う分には足りそうになかった。しかし、その日は日曜日だった。でかいホテルでないと両替できないだろう。フロントに行ってネパーリーに聞いて…

混沌

ニューデリー駅に着き陸橋を登った。踊り場には目の見えない笛吹きがいた。子供の頃、駅の地下道で、戦争で足を失った人がハーモニカを吹いていたのを思い出した。笛吹きはまだ若く、痩せてはいたが弱ってはいなかった。私は写真を撮りたくなった。せめても…

歩いて見える風景

こうなったらついでにメインバザールまで歩いてしまおう。どんどん思わぬ事態となってきたが、歩くのも面白いだろう。 そうとなれば、まずは現在地を確かめねばならない。地図を見ると、デリー門を左に曲がれば後は道なりでメインバザールに着く。デリー門は…

ガンジーの家(Gandhi Smriti Museum)

しかし、ガンジーの家に着いてみても、すでに門は閉まっていた。中を覗けば最後の客達がガイドに連れられて庭を歩いている。来るつもりは無い所だったが、このままで帰りたくはなかった。今日一日が切符探しで終わってしまう。それに、入れないとなると余計…

リクシャーに乗って

宣伝男をまたやり過ごして、リクシャーを捕まえた。痩せた、人の良さそうな笑い顔をするおっさんだった。彼は焦っていた。よっぽど儲かっていないのだろうか。とりあえず自分の客にしてしまおうと、‘いいから乗んなさい’とうんうん頷きながら腕を押した。で…

ほっと一息

デリーに戻る航空券を取りに行ったときは、約束の十時をとうに過ぎ、二時をまわっていた。 「遅かったじゃない」 子供を抱えたおばさんは私を持ちわびていた。おとといとは違い、ばっちり目は覚ましていたが、やっぱり眠そうな目をしている。 「彼(主人)は…

暑いメインバザール

メインバザールに戻った。騒がしい、暑苦しい、むさ苦しい。いろんな連中がごった返している。歩きだすなり、太ったおばさんが私の袖をひっつかんだ。何かのマークの布切れをシャツにつける気だ。 「な、なんだよ!?」 おばさんは無言。表情も変えない。た…

別世界のコンノート・プレイス

駅はごったがえしていた。そこら中に人が座っている。インドでも休暇の時期なのだそうだ。寄ってくる闇両替や物乞いを受け流して、二階の外国人用の窓口に行った。だが、やはり空席はなかった。こうなったら飛行機しかない。とにかく東に向かわぬことには話…

怒られたシヴァ

足早に小道を歩き、宿のSilver Palace Hotelの前まで来ると、中から少年がドアを開けた。私を待っていてくれたのだ。 「遅かったじゃない」 半分眠そうに、半分笑って少年は言った。 「ごめん」 少年はドアに鍵をかけた。フロントで寝ている人を踏まないよう…

インドが好きか

シヴァは、最初に寄ったコーラを飲んだ店でまた停まった。この店の印象は良かったし、十一時を過ぎ腹も減ってきたので、今度は降りた。イスに座るなりシヴァは主人に何か話している。どうやら私の機嫌が悪いと伝えているらしい。身振りから前の店では車から…

日本以外で死にたくない

シヴァは昼飯を食べたサイババのいる店に寄った。睨み付けてふっかけてきた店だ。冗談ではない。腹も減っていないし、シヴァのためにビールを奢る気なんかまったくない。タイや中国では、よくしてくれた人にばんばん奢ったが、シヴァには嫌だ。私は車から出…

彼はインド人で私は日本人

もはやシヴァは私に土産を買わせることを諦めた。 「車を直すから、ちょっと停まる」 朝から悩まされているオーバーヒートだ。砂ぼこり舞う広場に入ると、何台かの車と何人かの男、それに掘っ建て小屋が見えた。自動車整備場だろう。様子見に外に出ると、シ…

カーペット屋の手口

気を取り直したところで、もう一度タージマハールに行きたかった。 「タージマハールに行ってくれ」 「タージマハール?」 シヴァは、またか、という顔をした。そう、また行きたいのだ。気持ち良くタージマハールを見たいのだ。 しかし、次に停まったのは土…

アグラ城

次に訪れたアグラ城でもまだ気分はすっきりせず、赤砂岩でできた大きく風格のある城も、ただのつまらぬ建物にしか見えなかった。 そんな気分を和らげてくれたのはチャイ屋(インドではミルクティー)のおやじたちだった。 「おーい、一杯やってけよ」 仲間同…

それがインド It’s India

住宅地に入ったところにその店はあった。二台程入る駐車場に車を停め、一人が通れる位の入口から中に入った。店内は広々として綺麗だった。石や装飾品がガラスケースの中にずらりと並べられている。様々な種類があり、買う気はなくても眺めてみればそれなり…

夕暮れのタージマハールを見たい

スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスクの体験が強烈すぎたのだろうか。これと同等のものをどこかで期待していたのだろうか。タージマハールを見た時の感動は思った程ではなかった。整備された庭園に白いモスクは映えていたし、裏側に…

スルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・シャー・モスク

その日は朝からうまく行かなかった。マラヤ大学に行くためのバスに、すんでのところで乗り遅れ、二時間も待った。モスク行きのバスターミナルも最初間違えた。一度は案内所で確かめたのだが、なかなか来ないのでもう一度念のために聞いてみると、違うバスタ…

タージマハール

子供の頃一番好きだった建造物は、タージマハールだった。歴史の教科書で初めて写真を見たとき“なんて美しいんだ”と感動した。美しいなんてことはあまり感じないほうなのだが、タージマハールは心底美しいと思った。そして、一度は本物を見てみたい、そう思…

シヴァは味方か

昼飯を食べはじめたときは、すでに二時をまわっていた。出発してからもう四時間が過ぎている。高級車の方はあいかわらず不調で、シヴァはせっせとラジエーターに水を入れた。道の先に町らしきものは全然見えない。タージマハールをゆっくり見ている時間はあ…

ひっくり返ったトラック

何にもない所にひたすら延びている道を、車は時速六十~七十キロメートル位で走った。その私たちを‘HORN PLEASE’と後部に書いたトラックがどんどん抜き去っていく。今やホーンを鳴らされ脇に避けているのは高級車の方である。抜いていくトラックは全て完全な…

シヴァ

運転手は小柄で痩せた男だった。「名前は?」と聞くと、黙って首を振った。(当時)歳は私と同じ二十七歳。体つきは子供のようだが、口髭を生やした顔は歳相応に見える。名無しの彼は、少しふっくらさせればシヴァ神に見えないこともない。だからシヴァと呼…

銃口をつきつけられた

荷物を置き、チケットを買いにすぐに駅へ行くことにした。短い期間で、ヴァラナスィー、カルカッタに行くためには、今日中にタージマハールを見ておきたかった。リクシャーを拾い、メインバザールの人込みをするすると走り抜けるとすぐに駅が見えてきた。し…

値切り交渉

次の日は九時位に起きた。といっても朝早くから外は騒がしく、何度も眠りから引きずり出されそうになったのだが。空港からバスで一緒に来たフランス人が、メインバザールはうるさくて泊まりたくない、と言っていたがやはりその通りだ。アジア諸国の朝は早い…

銃撃

アンコール=トムの中心地バイヨン寺院は、林立する石塔それぞれの四方に微笑する顔が大きく彫られている。いわゆる『バイヨンの微笑』と呼ばれているもので、その数は百九十六もある。寺院の中に入れば、どこを向いても石の彫刻に微笑みかけられるのだ。私…

クメール=ルージュ

広大なアンコールの遺跡群を見て回るには、車かバイクしかない。宿に着いてから、車を雇った。六車さんと私、それにシェンムリアップの空港で知り合ったフランス人の三人で交渉した。しかし、二日で一人二十ドルと聞いて、フランス人はおりてしまった。バイ…

渡航自粛

ゲストハウスに戻り、白人夫婦とお互い集めた情報を交換すると、彼らも、シェンムリアップから戻ってきたばかりの人から、問題はなかったという話を聞いていた。彼らは、予定通り明日、シェンムリアップに向かうつもりだと言う。私も二重にシェンムリアップ…

本当に危険か、カンボジアでのこと

快適な旅をするには、相手が細菌であれ、人であれ、結局、危険を避けるのが基本だ。また逆に、そこが一番面白いところだ。同じ感覚を持つ人は沢山いる。でも、あまりに危険なことをしすぎる人もいる。 タイのカオサン・ロードで会ったのだが、イラクに入った…

チフスか

私は、ベトナムで大変な苦しみを味わったことがある。おそらく元はカンボジアから始まっていたのだろう。カンボジア最終日に、知り合った五人の日本人達で食堂でビールを飲もうということになったのだが、そこのビールのグラスには氷が入っていた。一人でな…

飲食物での注意

そして、快適な旅にするには飲食物に気を付けることがなによりだ。生ものが何といってもまずい。まず生水は絶対に飲んではいけない。日本人の身体では耐えられない細菌がうじょうじょいる。日本のように蛇口からの水を飲める国などそうあるものではない。そ…

子供たちを物乞いにしない、ぼられないようにするには

彼らはめぐんであげる人達ではない。そして特に子供たちにはそれを分かって欲しい。ネパールのカトマンズを回っていたとき、スワヤンブナートという仏教寺院でチベット系の少年が近づいてきた。鼻水を垂らして服はみすぼらしい。私の自転車を見張っていると…

彼らは悪い人間なのか

向こうはあの手この手で近づき、親近感をわかせ、油断させようとしてくる。だが、最終的な狙いは、ただ金をふんだくってやろうと思っているだけだ。油断は禁物である。 しかしながら、できるだけ旅行者、特に日本人から金を得ようと思っているのは、何もひっ…

よくある手口~良い情報を教えます

同じクアラルンプールの街頭で「今、何時ですか」と、日本語で尋ねてきた野郎(男だと態度は変わるのだ)がいた。私を見つけるや待っていたかのように出てきた。これは集団ひったくりの手口である。こうやって一人が注意を引きつけておいて他の奴らがひった…

よくある手口~睡眠薬

インドではビールはあまり飲まないらしい。普通の食堂ではビールを置いていなかった。その界隈では、レストランメトロの屋上(といっても二階建て)にしかないらしい。メトロの店内を抜け、ビヤガーデンに入った。 疲れていたからすぐに酔いがまわり、その酔…

信用できる程度

「カモン、ジャパン」 私はすっかり‘ジャパン’である。パスポートをコピーするために、最初に声をかけてきた私と同じ二十七歳の彼と、向かいのコピー屋に行った(彼がコピーをとってくると言ったがパスポートは決して人に手渡さない)。彼は一枚コピーをとる…

あてになるか見極めよう

バッグパックをワイヤーと錠前でベッドにくくりつけて、ビールを飲みに二人は出掛けた。通りは店が軒を連ねているため結構明るい。人込みをかき分け、食堂を探した。ゆっくり歩いていると、 「ヘイ、ジャパン」 と髭を生やした若いのが、カリフォルニアに住…

宿の決め方、危険は突然やって来る

通りに入って二百メートル位の所で私たちは降ろしてもらった。そしてそのまま目の前のHotel Payalに入った。薄暗い階段を上がると、ソファに弱ったじいさんが横たわり、ぼろ机のカウンターに髭を生やしたおっさんがいた。 「空いてる部屋はある?」 「ダブル…

メインバザールへ

時間は夜の八時半を回っていた。宿を探さなければならない。しかし、バスの中からは並んでいるように見えたゲストハウスも歩いてみれば数える程しかなかった。しかも、営業しているのは一軒も見つけられなかった。やはりメインバザールまで行かねばならない…

辛すぎない夕食

「メインバザールが近くにあるニューデリー駅に降ろしてくれ」 とチケット売り兼車掌のおっさんには頼んでおいた。メインバザールは安宿の集まる所である。しかし、途中のコンノート・プレイス近くで道沿いにゲストハウスの文字が見えた時、フランス人と一緒…

親切にもいろいろある、バスは客が満杯になるまで出発しない

ところで、明日からの旅のために、私としてはまず鉄道の時刻表が欲しかった。もしかすると、空港に置いてあるかもしれない。そこで、バスチケット売りのおっさんに聞くと、彼はどこかに電話して「お前が話せ」と受話器を渡してきた。しかし、受話器越しのイ…

小林君

そうこうしている間に、また後からもう一人日本人が来た。彼(小林君)は西欧以外を歩くのは始めてという人だった。とても不安だったらしい。客引き攻撃から逃れるため、日本人の私たちを見つけるや、やって来たようだ。客引きも、不安そうな彼なら押せばな…

空港は最初の難関、旅の強者から聞いたナンバーワンの遺跡

デリーのインディラ・ガンジー・インターナショナル・エアポートはよく管理されていた。部外者が中に入り込んでくるということもない。ネパールのカトマンズでは、税関に行くまでに部外者が寄ってたかって手荷物を取り上げ、ポーター料を請求してきた。空港…

無理をするか、ぶらぶらするか ~全人代が開幕した天安門広場

疲れていたら環境の変化や慣れない食べ物に順応できない。このことは東南アジアのバックパッキングで身を持って知っていた。その時は、無理なスケジュールで各国各地を歩き回り、発熱すること三度、そのうち一度は高熱のため立ち上がることさえきつい状態だ…

自分の身を守る緊張感

これらをまったく価値観の違う土地ですることになるのだ。そのときその場で必要な情報を自ら仕入れて確かめないといけない。なんといっても自分の身を守るという根本的なことだから、その緊張感というのは並大抵のものではない。五感六感を最大限利用して、…

何故ハードな旅をするのか

何故ハードな旅をするのか。やっぱりそれは一言でいうならば、“刺激”、ということだろう。何かやっていないと気が済まないというのは、毎日刺激があって初めてバランスがとれてくる、ということだ。そういう刺激がないと退屈でたまらなくなる。今日は一日何…

何故バックパッカーになるのだろうか?

私は、何故、バックパッカーとなるのか。このあたりのところはしばらく分からなかった。異国の地を歩きながら、よく考えたものだった。暑くてへたばりながらも目的地を目指し、寒くて眠れなくても安い部屋で耐え、時には身の危険を感じ、時には病気になり、…

「旅は帰ったときのために」~インターネットも携帯電話も使えない時代、世界を歩いたバックパッカー。インドへ~

スマホがあったらどんなに助かっただろうと思う。インターネットで調べたり、バックパッカー同士で情報を交換したりできる。インターネットがなかったら日常生活でも相当不便なのに、危険な地域に行く、日本人の感覚が通じない、とか発展途上国での貧乏旅行…